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耳鼻咽喉科

診療日

診療科紹介

外来診療

常勤医3名にて一般外来診療を行っております。耳・鼻・のどの症状の他、めまいや顔面神経麻痺などを対象に診察いたします。
各疾患に対して、実際に患者さんご自身の目で状態をご理解いただけるように、必要に応じて電子スコープを用いて病変を撮影します。さらに、各種画像検査や血液検査を施行し、症状の精査を行います。

入院診療

常勤医師3名により病棟を担当しております。
手術を予定している方の他、咽頭痛のため飲食ができない方、強いめまいで帰宅困難な方など、安心してご帰宅できるように治療を行います。また、突発性難聴の方に対して、入院の上で連日ステロイド剤の鼓室内注入(鼓膜に注射して薬を入れます)を行います。必要時には他科医師との連携のもと、診察いたします。

対象疾患

耳疾患

最も多いのが難聴です。加齢に伴う加齢性難聴が多いですが、中には突発性難聴中耳真珠腫など他の疾患の可能性もあります。加齢性難聴は認知症の進行のリスク因子として最も重要です。積極的な補聴器の導入によって日常会話を円滑に保つことが、認知症の予防や進行阻止に必要です。当科では患者様に最適な補聴器を選定しています。また、高齢者における突発性難聴では通常のステロイド内服だけでは治療効果が少ないので、入院でのステロイド剤の鼓室内注入(鼓膜に注射して薬を入れます)が推奨されます。
耳鳴は難聴の随伴症状である可能性があります。当科では聴力検査やティンパノグラムの他、必要に応じて側頭骨CT検査で中耳や内耳の評価を行います。日常生活に支障をきたすようであれば補聴器外来へご案内いたします。
耳漏でお困りの場合、耳掃除などの刺激が原因となって起こる外耳炎外耳道真菌症のことが多いです。近年テレワークに伴いイヤホンを使用する機会が増加しており、外耳炎が増えております。一方で、鼓膜穿孔を伴う慢性中耳炎のこともあります。耳漏の量に応じて細菌培養検査を施行して、原因となっている細菌の同定に努めます。
歳を重ねるとめまいを起こすことも多くなります。最も怖いものが脳幹梗塞や小脳出血などの中枢性めまいです。呂律障害や四肢のしびれ・麻痺を伴う場合や歩けないほどのめまいの場合は中枢性めまいの可能性がありますので、当科受診前に他科受診をご検討ください。一方で起き上がる時や寝返りを打った時など、頭を動かしたことによって回転性めまいを自覚する場合や耳鳴・難聴を伴うめまいは、良性発作性頭位めまい症メニエール病の可能性があります。聴力検査の他、フレンツェル眼鏡を用いて、診察室で眼振を観察して診断します。

鼻疾患

鼻汁・鼻閉・くしゃみの3症状がある場合、花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎の可能性が高いです。血液検査でアレルギーの精査を行うことができます。基本的には薬(内服薬や点鼻薬)で症状は改善しますが、薬がなかなか効かない場合は手術も選択肢の1つに挙げられます。

鼻汁鼻閉の際に他の原因として挙げられるものが慢性副鼻腔炎です。膿主体の黄色の鼻汁や頭や頬部の重さが特徴で、鼻内所見や副鼻腔CT検査をもとに診断します。慢性鼻副鼻腔炎には、鼻茸を伴わないタイプと鼻茸を伴うタイプの2種類がありますが、鼻茸を伴う副鼻腔炎の中でも再発しやすいと言われている難治性副鼻腔炎が、好酸球性副鼻腔炎と言われる副鼻腔炎です。詳細はトピックスの項をご参照ください。

のど疾患

咽頭痛に発熱を伴う場合、扁桃炎の可能性があります。血液検査や細菌培養検査を併用して精査します。また、飲食困難や呼吸苦を伴う場合、扁桃周囲膿瘍急性喉頭蓋炎の可能性があり、この場合入院加療が必要になります。このような疾患を見落とさないためにも、咽頭痛を訴える方には全例電子スコープを用いて診察します。

頸部腫脹の場合、リンパ節腫脹の他に腫瘍性病変の可能性があります。血液検査の他、毎週水曜日の午前中に施行できる超音波検査で精査いたします。超音波検査の際に必要があれば細い針で腫瘍の細胞を一部吸引して病理検査へ提出する「穿刺吸引細胞診」を施行します。

声が枯れてしまういわゆる嗄声の多くは、声を酷使することが原因で起こる声帯炎で、声を出さないように過ごすと自然に治癒します。一方、声帯ポリープポリープ様声帯喉頭肉芽腫喉頭乳頭腫声帯麻痺など、嗄声の原因となる疾患は様々なので、電子スコープを用いて声帯をしっかり評価することが必要になります。

飲み込みづらさのどの違和感の場合、最も怖いものが咽頭癌喉頭癌です。電子スコープを使用した観察に加え、血液検査やCT・MRIで精密に検査します。

その他

顔が動かしづらい場合、顔面神経麻痺の可能性があります。Bell麻痺(原因不明の顔面神経麻痺)やRamsay-Hunt症候群(耳の痛みやめまい・難聴を伴う顔面神経麻痺)のことがほとんどですが、ごく稀に脳幹梗塞顔面神経鞘腫の場合もあるので、必要に応じてMRI検査を行います。治療はステロイド薬の内服になりますが、糖尿病の合併がある場合は入院加療が必要となります。

日中の眠気睡眠時の無呼吸いびきは、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。正確な診断のために、一泊二日の入院で終夜ポリソムノグラフィー(PSG)検査が必要です。PSGは1泊2日の入院検査で、主に土日に行います。症状やPSGによる重症度に応じて治療方法を選択します。治療方法は、鼻閉が原因の場合は点鼻薬などの投薬治療や手術、軽症から中等症の場合はマウスピースなどの口腔内装具、中等症から重症の場合は持続陽圧呼吸療法(CPAP)などが挙げられます。

トピックス

好酸球性副鼻腔炎

2000年以降提唱された疾患概念で、嗅覚低下をきたすことが多いほか、気管支喘息やアスピリン不耐症の合併が多いという特徴があります。一般的な副鼻腔炎に対する治療薬は抗菌薬が一般的ですが、好酸球性副鼻腔炎に対する治療薬の第一選択は鼻噴霧用ステロイド剤であり、術後再発性鼻茸にも有効です。鼻噴霧用ステロイド剤の通常量で縮小しない術後再発性鼻茸には倍量投与で鼻茸は縮小し、嗅覚能の改善にも効果的です。投与後の糖尿病や副腎皮質不全などの有害事象は皆無で、安全に使用可能な方法です。
鼻噴霧用ステロイド剤やステロイドの内服によってもコントロール困難な場合(全体の約20~40%)は手術適応になりますが、手術後の再発率は約25%と、再発率が高い特徴があります。再発を認めた場合、ステロイドの全身投与やデュピルマブという注射薬剤の投与などの治療手段があります。

デュピルマブ

生物学的製剤であるデュピルマブの登場により、術後の再発症例や全身的ステロイド抵抗性の難治性好酸球性副鼻腔炎に対して効果が期待されています。本薬剤は「副鼻腔炎を悪化させるアレルギー回路の一部を止める」注射で画期的な新規治療薬として期待されていますが、高額な薬剤であることから厳密な適応が求められます。適応は、手術後に鼻茸の再発を認めた症例や、全身的ステロイドの抵抗症例など既存の治療法に難渋する重症好酸球性副鼻腔炎などです。好酸球性副鼻腔炎の重症度は末梢血やCT画像など検査結果の他、気管支喘息、アスピリン不耐性、NSAIDアレルギーの合併の有無で分類され、重症症例は国内に約2万人存在すると推定されています。
デュピルマブは2週間ごと(症状が安定している場合は4週間ごと)に皮下注射します。自己注射も可能で、その手技も簡便です。その有効性も大規模臨床試験で証明されており、嗅覚の改善や鼻閉の改善が見込まれます。
デュピルマブの使用に際して患者側の唯一の問題点は経済的な負担がかかる点です。保険診療の3割負担の場合、月に約3万の薬剤費が必要となりますが、指定難病の受給によって、医療費の助成を受けることができます。

当医療センターでの耳下腺腫瘍手術

【入院期間】
入院は基本的に術後約1週間程度ですが、腫瘍の状況により入院期間の短縮は可能です。一方、合併症等により退院が延期になる可能性があることをご了承ください。
  • 手術時間は約2時間程度ですが腫瘍の状況により延長します。
  • 摘出腫瘍の病理検査の結果については退院後に外来でご説明します。
  • 病理検査の結果によっては追加治療が必要になる可能性があります(がんが判明するなど)
【麻酔】
  • 手術は全身麻酔で行います。麻酔に関しては麻酔科の医師より説明があります。
  • 手術前日21時より手術後翌日の朝まで飲食禁止です。
  • 手術当日朝、水分を摂るための点滴を入れます。
【術式】
腫瘍の状況によりますが、良性腫瘍の中で一番多い「多形腺腫」の場合には腫瘍周囲に約5mm程度の距離をつけて腫瘍を摘出します(患者さんの病状によりこのかぎりでないことをご承知おきください)。耳下腺の中を走行している顔面神経(顔の筋肉を動かす働きをしている)は、温存します。
  1. 当科では傷を目立たせないために、できるだけ頭髪の生え際近くに皮膚切開を設定する方法で手術を行っています。(腫瘍の位置によっては本方法で行わない場合もあります)
  2. 耳たぶの感覚を担っている神経を残しながら、耳下腺を露出させます。
  3. 顔面神経を確認し傷つけないようにします。当科では顔面神経モニタリング装置を用いて確実な神経の温存につとめています。この装置は鋭敏に神経の位置を探索できるので、安全に手術が行えます。
  4. 腫瘍周囲から約5mm程度離しながら耳下腺を切除します。摘出後、Frey症候群等の予防の工夫をし、ドレーンを留置して手術終了です。 (ドレーンは傷の脇から挿入するゴム製のチューブで手術後2~3日後に抜きます。)
【合併症の可能性】
  • 痛み:薬でコントロールできる範囲です
  • 出血:少量です • 耳垂(みみたぶ)の感覚麻痺
  • 傷の違和感:つっばる感じなど
  • 顔面神経麻痺:閉眼困難など、表情を作るのが困難になります。麻痺がおきても一過性のことがほとんどですが、中には生涯にわたって継続する可能性も稀にあります。
  • Frey症候群(フライ症候群):術後しばらくしてから食事摂取時に手術部位が赤くなり発汗する現象です。
【退院後】
翌日からのお仕事への復帰も可能です。
首の安静の必要は無く、運動も問題ありません。
良性腫瘍の場合には一度外来を受診していただき傷のチェックを行います。その際、異常なければ終診となります。
悪性腫瘍の場合には追加治療の可能性や以後の定期的受診が必要となります(再発のチェックを行います)。

スタッフ紹介

池田 勝久(いけだ かつひさ)
東北大学卒
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学 特任教授

専門分野
耳鼻咽喉科学
頭頸部腫瘍、外科学
上気道アレルギー学
気管食道科学
学会・資格
日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本気管食道学会認定医
日本アレルギー学会認定医
日本耳科学会 耳科手術暫定指導医
日本鼻科学会 鼻科手術暫定指導医

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 理事
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 理事
日本レーザー医学会 理事
日本耳鼻咽喉科学会 評議員

外部紹介
池田勝久 医師(いけだかつひさ)|ドクターズガイド|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト (jiji.com)
慢性副鼻腔炎・蓄膿症の名医・専門医37名 | 日本全国の名医・専門医一覧まとめ (doctor110.com)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)名医-日本の名医(東京・大阪他) (doctor-cancer.com)
副鼻腔炎・蓄膿症の名医・専門医リスト (minnanomeii.com)
松野 栄雄(まつの ひでお)
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学 准教授

専門分野

学会・資格
 
田島 勝利(たじま しょうり)
順天堂大学卒
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学 助教

専門分野
耳鼻咽喉科学
学会・資格
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医

診療実績

令和元年度

外来延患者数5,358名(うち初診 404名)
入院延患者数678名(うち新入院患者数 140名)

主要疾患

慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲、鼻出血
習慣性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍
頭頸部良性腫瘍
顔面神経麻痺、突発性難聴、眩暈
睡眠時無呼吸症候群

主要手術

内視鏡下鼻副鼻腔手術、鼻中隔矯正術
気管切開術
喉頭微細手術
口蓋扁桃摘出術
頸部腫瘍手術
頸部リンパ節生検術