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当医療センターでのアレルギー性鼻炎に対する手術

2023.02.08

花粉症などのアレルギー性鼻炎の基本的な治療は薬物治療ですが、効果が乏しい場合には、他の治療法の選択肢として、手術が挙げられます。この手術の目的は、下鼻甲介に存在する効果器の物理的・機能的除去です。近年、難治性の水様性鼻漏やくしゃみに対する積極的なアプロ−チとして、下鼻甲介に分布する副交感神経と知覚神経を選択的に切断する後鼻神経切断術が試みられています。従来から知られている古典的なVidian神経切断術は上顎洞経由でアプローチする術式ですが、涙腺に分布する副交感神経も切断するために涙液分泌障害が生じる可能性が高く、口蓋粘膜への知覚枝の切断により同部位の知覚鈍麻も報告されています。その反面、鼻内経由の後鼻神経切断術は副損傷の頻度が極めて少なく、しかも最小の侵襲で施行可能な術式です。
動物実験では後鼻神経切断後に徐々に神経の再支配が生じることが示されていますので、我々は切断した後鼻神経を骨や軟骨片で被覆して後鼻神経の再支配を予防する術式を考案し、術後の良好な成績を報告しています。後鼻神経切断術を含む手術症例56例の6ヶ月間から4年間の観察期間の臨床成績では、2症例を除き鼻症状の改善は8割以上です。また、術後の鼻腔抵抗値と鼻粘膜抗原誘発検査を検討した結果、15症例すべてで改善を認めています。術後の合併症では鼻出血が1症例、一過性の口蓋粘膜の知覚鈍麻1症例です。
アレルギー性鼻炎でお悩みの方は、是非お気軽にご相談ください。