診療科・部門
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トピックス
診療科紹介
当医療センター外科・消化器外科は高齢者だけに限った診療ではなく、若年層からの全ての患者さんを対象に診療をしています(小児外科はありません)。
診療している主な疾患は消化器癌を中心とした胃癌、大腸癌、直腸脱、胆石症、肝胆膵疾患、ヘルニア疾患、腸閉塞、急性虫垂、乳腺疾患などです。
外科治療の中心となる手術に関しては開腹手術と腹腔鏡手術がありますが、当科ではほとんどの手術に患者さんに優しい腹腔鏡手術を適用しています。
福永正氣特任教授、岩沼佳見准教授に順天堂本院の消化器外科から嶋津藍先生、下部消化管外科から小針文先生が加わり、開腹手術に加え、腹腔鏡手術を行う体制が充実しました。福永特任教授は1993年から30年間に特に進行大腸癌、胃癌に対する腹腔鏡手術を日本でもいち早く導入し、国内でも有数の症例数の経験があります。また国内外で多数の病院で手術指導を行うなど、腹腔鏡手術の安全な普及にも努めてきています。
当医療センターは順天堂大学医学部の6附属病院の一つで、23の診療科を持つ総合病院です。内科系は消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、糖尿病内科などの診療科を有し、専門性の高い医療を提供しています。このため癌に対してのみ治療するのではなく、高齢者や心臓疾患や糖尿病などの他の合併症を持った患者さんに対しても各内科と連携してきめ細かく治療することが可能です。症例によっては順天堂医院、順天堂浦安病院と連携して総力をあげて対応します。
診察を希望する患者さん、ご家族は当医療センター、消化器外科に予約して是非、受診してください。予約窓口は当院予約係 専用ダイヤル03-6857-5111にお電話ください。現在、かかりつけ医や他院に受診されている患者さんは予め紹介状(診療情報提供書)を書いていただき、持参して受診していただくことで、より正確かつ迅速な診療ができ、また検査の重複も避けられます。
外科・消化器外科 科長
岩沼 佳見
外来における診療体制
午前中は一般外来で日本外科学会、日本消化器外科学会、日本内視鏡外科学会、日本消化器内視鏡学会、日本腹部救急医学会の指導医、専門医、技術認定医、教育医が担当しています。
乳腺外来は毎週木曜日午前となっています。
セカンド・オピニオン外来は開設していませんがご依頼があれば通常診療の中で受け入れています。
入院における診療体制
指導医、専門医を中心に外科スタッフ全員がひとつのチームとして入院後の個々の患者さんの治療に当たっています。
専門外来
対象疾患
治療方針
当科の治療の基本方針は患者さんやご家族と話し合い、患者中心で質の高い、安全な医療を心がけていることです。
治療の中心となる手術では個々の患者さんの癌の進み具合(病期・ステージと言います)、患者さんの希望により開腹手術と腹腔鏡下手術の両方の治療法を選択できます。当科では特に患者さんに優しい腹腔鏡手術を積極的に行っています。
腹腔鏡手術とは
開腹手術と違い、おなかを大きく切開することなく、小さな穴(0.3-1.2cm径)を開けて、ここからおなかの中に内視鏡や腹腔鏡手術用の器具を入れて、内部を映し出すモニターを見ながら行う手術です。キズが小さいため術後の痛みが少なく、美容的、食事も早く摂取や歩行ができるようになり、早く退院、社会復帰ができる、キズの化膿、腸閉塞などの合併症が少ないなどの利点があります。患者さんにやさしい手術と言われる所以です。
腹腔鏡手術の開腹手術と比較した長所
- 視野が良いため繊細な手術が可能となる
- キズが小さく、術後の痛みが軽い
- 術後に早く歩行ができるようになり、食事摂取が早くできる
- 入院期間が短く、日常生活や社会復帰が早い
- キズの化膿、腸閉塞などの術後の合併症が少ない
- キズが小さく美容的
腹腔鏡手術の開腹手術と比較した短所
- 画像を介する手術のため開腹手術より技術的に難しい
- 外科医が手術を習得するために特別なトレーニングが必要
- 外科医の技量によって手術の結果に差がでやすい
診療を行う主な疾患
消化器疾患、一般外科疾患、腹部救急疾患を対象としています。
悪性疾患:大癌癌・直腸癌、胃癌、肝癌、胆道癌、膵癌、乳癌など
良性疾患:急性虫垂炎、憩室炎、直腸脱、腸閉塞、胆石症、急性胆嚢炎、そけいヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、乳腺疾患など
肛門疾患:内痔核、痔ろう、裂肛など
大腸癌(結腸癌と直腸癌を含めて大腸癌と言います)
早期の大腸癌の中には外科手術まで行わず、肛門から内視鏡を入れて治療できる内視鏡切除で治療できる患者さんがいます。この場合には消化器内科と連携し内視鏡切除(ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD))を選択します。
さらに進行した病期の癌の場合には外科手術が必要となります。大腸癌は他の部位の癌に比べると外科手術の成績がよい癌で、特に早い時期に手術できた患者さんは完全に直る可能性が高くなります。
手術方法には開腹手術、腹腔鏡手術、経肛門的手術などの手術法があります。腹腔鏡手術は開腹手術に比べ痛みが少なく、術後合併症が少なく、早期の術後の回復が早く、患者さんに優しい手術と言われ、当院では、ほぼ100%の患者さんに選択するようになっています。
直腸癌は可能な限り排尿機能、性機能を損なわない機能温存手術を行います。肛門近くの直腸癌に対しては、できるだけ人工肛門を避けて肛門を残す手術を選択します。
また患者さんにより局所再発を抑えるために、手術に先立って抗がん剤や放射線の治療を行い、腫瘍の大きさや周囲への浸潤の程度を小さくして手術をする場合があります。また症例を選択して、さらに負担の少ない、キズの少ない、また美容的な腹腔鏡手術として、おへそのみのキズから手術する単孔式腹腔鏡手術も行います。
術後はリンパ節転移のない病期0、Iの患者さんには原則として5年間定期的に経過観察のみとなります。病期IIの一部、病期III以上の患者さんには再発を抑制し、予後を改善する目的で患者さんと相談した上で3~6月間の抗がん剤治療(術後補助化学療法)を行います。
術後は外来で定期的な再発のチェックも大切です。最も多い再発部位は肝臓です。直腸癌の場合は局所再発がこれに続き、肺転移も見られます。再発した場合でも手術で取り除ける場合はできるだけ外科切除を行います。外科手術ができない再発の治療として最近では有効な抗癌剤が次々と開発されています。いくつかの薬を組み合わせて治療することが一般的で、生存期間も長くなってきています。手術後は最低5年間は定期的な診察が必要になります。
胃癌
早期癌は消化器内科と連携し内視鏡切除(EMR、ESD)を行います。これより進行した癌で外科手術が必要な患者さんの場合は腹腔鏡下胃部分切除または胃切除手術を積極的に適応しています。近年では、進行胃癌を含め全手術の約80%が腹腔鏡手術を適応します。
抗癌剤の使用に関しては基本的に胃癌治療ガイドラインに沿って患者さん、ご家族とよく話し合ったうえで決定します。進行した患者さんには抗癌剤の治療を手術の前に行ってから手術する場合もあります。
GIST(胃間葉系腫瘍)に対しては積極的に腹腔鏡手術を行い、単孔式腹腔鏡手術も行います。
肝癌・膵癌・胆道癌
消化器内科との協議したうえで治療法を選択しています。大腸癌等からの転移した癌で肝切除術が必要な場合には症例を慎重に選択して腹腔鏡手術を行います。外科切除の場合は順天堂本院の肝胆膵外科と緊密に連携して対応しています。
胆石症・胆嚢炎
消化器内科と協議して治療法を選択します。腹部手術既往のある方、高齢者を含め、ほぼ全例に腹腔鏡手術を行い、最近、開腹手術はほとんどありません。また、急性胆嚢炎・胆管炎は東京ガイドラインに沿って発症後比較的早期に腹腔鏡手術による治療を行います。
胆石症や軽症の胆嚢炎に対し患者さんを慎重に選択してキズをさらに少なくして臍のキズのみで手術を行う単孔式腹腔鏡手術やReduced Port Surgeryを行います。キズがほとんどわからない美容面が大きなメリットな手術で、特に女性には好評です。総胆管結石がある場合には、消化器内科で内視鏡的乳頭切開(EST)で結石を除去したあとで腹腔鏡手術を行います。しかし、内視鏡的に結石除去が困難である患者さんは腹腔鏡手術で総胆管切開して結石を除去します。
直腸脱
骨盤臓器脱の一つで肛門周囲の筋肉などの骨盤底を支える組織が弱くなり肛門から直腸が脱出する高齢者に多い疾患です。子宮脱や膀胱脱などを合併する場合は婦人科や泌尿器科と連携して診療します。脱出の程度により肛門周囲を縫い縮める手術や腹腔鏡手術により直腸をつり上げる手術を選択します。
急性虫垂炎
腹部手術の中でも最も頻度の高い疾患の一つです。ほとんど全例に腹腔鏡手術を行います。以前は昼夜を問わず緊急で手術をする場合が多かったのですが、まず抗生剤による治療を行って早期に手術する場合と、いったん炎症を抑えて一定期間を待ってから手術する場合があります。
腹膜炎を合併している場合や抗生剤で良くならない患者さんは早い時期に手術が必要です。患者さんによっては臍からの傷のみで手術を行う単孔式腹腔鏡手術を行います。キズがほとんどわからないため美容面に優れ、特に女性に好評です。
そけいヘルニア
世間で脱腸といわれる疾患です。小児に多い疾患ですが、成人でも腹壁が弱くなると疾患で発症する疾患で、太ももの付け根付近が腹圧が加わるときに膨らみ、時に痛みや違和感を伴います。常に膨らんだままの場合や、腸閉塞の原因になることもあり、手術以外には治りません。緊急手術が必要な場合もあります。
治療はメッシュという腹壁を補強するシートをそけい部を切開して補強する方法(切開法)と腹腔鏡でおなかの中から補強する方法(腹腔鏡下ヘルニア修復術)があります。当科では再発が少ない腹腔鏡手術を主に選択しています。
肛門疾患
肛門の三大疾患(痔核・痔ろう・裂肛)の診察、治療を行っています。
薬による治療や手術だけでなく、切らずに注射で治す硬化療法(ALTA療法)まで、それぞれの治療方法を丁寧に説明し、個々の症状や患者さんの事情に応じた最善の治療方法を選択します。
- 痔核(いぼ痔)の治療
- まずは軟膏治療などの薬剤治療を行います。薬で改善されない時は手術を考えます。手術には切除する方法と注射療法があります。それぞれの治療の利点、欠点を丁寧にご説明し、患者さんの希望に最も添えるような治療法を相談しながら決めていきます。
- 痔ろう(あな痔)の治療
- 痔ろうは基本的に手術を行います。痔ろうの手術は、再発や肛門の締まりが悪くなるといったリスクがあります。痔ろうの場所や深さによって手術法が異なるため、なるべく負担や合併症の少ない治療方法を選択します。
- 裂肛(きれ痔)の治療
- 症状が強くないものは軟膏治療などの薬剤治療を行います。薬で改善されないときは手術を考えます。きれ痔を繰り返すうちに肛門が硬く、狭くなるため、肛門狭窄の手術では、肛門を緩める手術を行います。
その他 腹壁瘢痕ヘルニア、逆流性食道炎、腸閉塞などを扱っています。
乳癌などの乳腺疾患の患者さんは本院乳腺科と連携して治療を行っています。
スタッフ紹介
福永 正氣
(ふくなが まさき)
- 卒年
- 1976年
- 大学
- 順天堂大学卒
- 役職
- 順天堂大学医学部外科・消化器外科 特任教授
- 専門分野
- 消化器外科(大腸癌・胃癌)内視鏡外科手術 Reduced Port Surgery
- 学会・資格
- 日本内視鏡外科学会特別会員 技術認定顧問審査委員 技術認定医
日本臨床外科学会特別会員
日本外科学会 指導医・専門医
日本消化器外科学会 指導医・専門医 消化器がん外科治療認定医
日本外科系連合学会フェロー会員評議員
日本腹部救急医学会特別会員 暫定教育医・認定医
日本消化器病学会指導医・専門医 日本乳癌学会指導医・専門医
腹腔鏡下大腸切除術研究会幹事・世話人
単孔式内視鏡手術研究会運営委員・世話人 関東腹腔鏡下胃切除研究会世話人
岩沼 佳見
(いわぬま よしみ)
外科・消化器外科 科長
- 卒年
- 1986年
- 大学
- 順天堂大学卒
- 役職
- 順天堂大学医学部上部消化管外科学 准教授
- 専門分野
- 消化器外科、食道・胃外科治療、がん免疫外科学、分子免疫学
- 学会・資格
- 日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医
日本内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医
日本がん治療認定医機構認定医、日本食道学会認定医・評議員
南塚 俊雄
(みなみづか としお)
- 卒年
- 1982年
- 役職
- 順天堂大学医学部消化器外科学 助手(非常勤)
- 専門分野
- 上部消化管外科学
嶋津 藍
(シマヅ アイ)
- 卒年
- 2010年
- 大学
- 順天堂大学
- 役職
- 順天堂大学医学部消化器外科 助手
- 学会・資格
- 日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医
小針 文
(こばり あや)
- 卒年
- 2015年
- 大学
- 福島県立医科大学
- 役職
- 順天堂大学医学部下部消化管外科学 助手
- 専門分野
- 消化器外科、下部消化管外科
- 学会・資格
- 日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会、日本癌治療学会、日本消化器内視鏡学会、日本内視鏡外科学会、外科専門医
小林 清洋
(こばやし せいよう)
- 卒年
- 2021年
- 大学
- 順天堂大学
- 役職
- 順天堂大学医学部上部消化管外科学 助手
- 専門分野
- 消化器外科
- 学会・資格
- 日本外科学会
診療日
赤字:女性医師
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月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | 嶋津 藍 |
一般・食道・胃外科 岩沼 佳見 |
小針 文 内視鏡手術センター(胃・大腸) 福永 正氣 |
一般・食道・胃外科 岩沼 佳見 乳腺外来 清水 秀穂 内視鏡手術センター(胃・大腸) 福永 正氣 |
嶋津 藍 | 小林 清洋 |
午後 |