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女性泌尿器外来

2023.02.08

歳をとり、排尿の問題のために外出を控えたりしていませんか?
特に女性の場合、泌尿器って行きにくいと思って躊躇していませんか??
泌尿器科では、男性だけでなく女性の頻尿や尿失禁、骨盤臓器脱などを対象に診療しております。
男性の前立腺肥大症と同様、女性に多い過活動膀胱や尿失禁、さらに骨盤臓器脱などはQOL・生活の質と密接に関連します。尿失禁の潜在患者は極めて多く、ある調査では我が国における健康な40歳以上の女性の43.9%、60歳以上の高齢者では50%以上に存在すると推定されています。骨盤臓器脱については我が国では正確なデータはありませんが、米国での調査では約40%に認めたと報告されており、本邦でも潜在患者は多いと予測されます。
行動療法や薬での治療、手術療法まで患者さんの状況にあわせて診療させていただいております。思い当たるような症状がある場合、一度受診してみてください。

<女性泌尿器の病気でよくある症状>

主担当医 泌尿器科  高澤 直子
診療日時 毎週金曜日  午前9時~(予約制)
予約受付 医事課予約係  03-5857-5111(受診予約専用)

尿失禁

咳やくしゃみをしたときに漏れる、トイレに行きたくなって間に合わずに漏れる、我慢していたのにトイレのドアをあけたとたんに漏れてしまう、水の音を聞いただけで漏れてしまう、知らない間に漏れている・・・・こんな経験ありませんか?尿失禁にはいろんなタイプがあります。タイプにあわせて、内服治療や体操などの理学療法、手術と治療の選択肢はさまざまです。

尿失禁のタイプ

腹圧性尿失禁 咳やくしゃみでもれる
立ち上がった時にもれる
歩いている間やジャンプをする時にもれる 
尿失禁全体の約半数を占めます。出産や加齢、慢性的な便秘や咳が原因となります。
切迫性尿失禁 トイレに間に合わないでもれる
水の音を聞く時にもれる 
急に尿がしたくなり我慢ができない 
過活動膀胱の症状の一つです。女性の場合、年齢が高くなるにつれて切迫性尿失禁の頻度が多くなります。
溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
反射性尿失禁
知らない間にいつの間にかもれている  溢流性尿失禁は排尿障害で多量の残尿が生じることにより膀胱内圧が上昇して尿が漏れだす状態です。
反射性尿失禁は外傷や脊髄損傷などで認めます。
機能性尿失禁 トイレへの移動に時間がかかりもれてしまう 歩行障害や認知症でトイレに行くのに時間がかかってしまうなど、排尿機能以外の問題で起こるものをいいます。
尿道外尿失禁 常にもれている  先天性のものと後天性のものがあり、後天性は手術や外傷による尿道括約筋損傷や膣瘻(ちつろう)などがあります。

尿失禁の治療

尿失禁のタイプにより治療法は異なります。残尿が多ければ、残尿を減らすような治療をしなければいけませんし、機能性尿失禁の場合には、生活環境を整えるなども治療の一つです。
腹圧性尿失禁に関しては薬物療法や行動療法などの保存的治療で効果不十分な場合には手術が適応されますが、TVT/TOTという中部尿道スリングをおくことにより高い成功率が得られ患者満足度も非常に高い手術となっております。

骨盤臓器脱

骨盤内の臓器(膀胱・子宮・腸)は骨盤の底にある筋肉などで支えられていますが、出産や加齢,肥満,慢性的な咳や便秘などにより弱くなり支えられなくなることにより膣の出口の方へ下がってきます。これを骨盤臓器脱と呼びますが、出てくる臓器によって子宮脱や膀胱瘤、直腸瘤と分類されます。ひとつの臓器だけが下がってくるよりは、多部位が同時に下がってくることが多いです。子宮を手術で摘出した後にも臓器脱は起こることがあります。

骨盤臓器脱の呼び方

骨盤臓器脱の原因と症状

出産や加齢、慢性的な便秘や咳、肥満などがリスクとなります。
症状は下腹部や会陰部の違和感、下垂感などで、夕方になると症状が増悪し入浴時に会陰部にピンポン玉のようなものを触れるなどの訴えが多く聞きます。進行した際には排尿困難や排便困難の原因ともなり、また膣壁が下着にすれて出血し日常生活を大きく制限されてしまいます。

骨盤臓器脱の治療

薬物では改善しないため根本的な治療は手術療法ですが、軽症の場合や手術が受けられない際にはリングペッサリーの挿入などを行います。手術療法は臓器脱の種類や程度に応じて、修復・補強する部位が異なってきますし、また脱出する臓器だけを単純に修復するだけでは手術後に他の臓器に負担がかかり他臓器脱が出現することもしばしばあるのでバランスを考えた修復が必要です。当院では患者さんの状態に合わせた手術を心がけております。

腹圧性尿失禁・骨盤臓器脱の予防

発症前から骨盤底筋体操や体重管理、便秘対策、締め付けのきついボディスーツやガードルの使用はさけるなどの生活指導は非常に重要です。

膀胱炎

排尿するときに痛い、尿がたまっていないのに何度もトイレに行ってしまう、尿が赤い、などの症状があります。女性は尿道が男性に比較して3−5㎝と非常に短く、膀胱炎を経験することは少なくありませんが、しっかり治療をしないと症状が長引くこともあります。熱がある際には腎盂腎炎の可能性を考える必要があります。多くは細菌が原因の膀胱炎で、治療には水分摂取と抗生物質の内服を行うのが一般的です。膀胱炎になりやすい人は生活習慣を見直すことが大切です。排便後には必ず前から後に拭くようにする、性交渉後に排尿するようにする、尿漏れシートなどをこまめに替える、疲れをためないなどのこともとても大切です。
何度も膀胱炎を繰り返す場合、なかなか治らない場合には他の病気が隠れていることがありますので一度泌尿器科で調べるようにしてください。

間質性膀胱炎

尿検査で異常がみられないような膀胱炎の場合、間質性膀胱炎という病気の可能性があります。間質性膀胱炎は頻尿や膀胱痛・尿道痛などの症状があり非常に生活の質(QOL)を低下させます。間質性膀胱炎は抗菌剤の治療では良くなりませんので、専門施設で診断をつけて治療を行うことが重要です。精神の病気でもなければストレスによって起こされるのでもなく、今の所ははっきりした原因は不明で女性に多い病気です。

間質性膀胱炎の診断方法

まず他の病気の除外が必要です。尿検査やエコーなどの検査の他、診断のためには膀胱鏡検査が大切です。間質性膀胱炎の方は、膀胱鏡検査では痛みを非常に感じることが多く、外来で検査することが難しいこともあります。その場合、麻酔下で治療を兼ねた膀胱水圧拡張術を行っています。

過活動膀胱

急に尿がしたくなる、何度もトイレに行ってしまう、水仕事をしていると急にトイレに行きたくなる、急にトイレに行きたくなり我慢できずにもれてしまうことがある、こんな症状がある方、過活動膀胱かもしれません。
過活動膀胱は40歳以上の男女の8人に1人に症状があることが分かっています。

過活動膀胱の原因

過活動膀胱は脳梗塞やパーキンソン病のような脳の障害、脊髄損傷などによる神経のトラブルで起こる神経因性のものと、非神経因性のものに分けられます。非神経因性の場合、女性の場合は出産や加齢などで骨盤底筋が緩むことによって引き起こされることも有ります。また、原因が特定出来ない場合も実際に多くあります。

過活動膀胱の治療法

まずは生活指導や行動療法(膀胱訓練や骨盤底筋体操)をやっていただき、薬による治療を行います。行動療法や薬物治療でなおりにくい難治性過活動膀胱には2017年9月から仙骨神経刺激療法(SNM)が保険適応になりました。手術により電気刺激を行う小型の刺激装置を体内に埋め込み、会陰部や骨盤を支配する仙骨神経に電気刺激を行い過活動膀胱の治療をするものです。これまで治療が難しかった難治性過活動膀胱の新しい治療として期待されています。装置の埋め込み後はMRI検査に制限が必要となります。