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デュピルマブについて
耳鼻咽喉科
2023.02.08
生物学的製剤であるデュピルマブの登場により、術後の再発症例や全身的ステロイド抵抗性の難治性好酸球性副鼻腔炎に対して効果が期待されています。本薬剤は「副鼻腔炎を悪化させるアレルギー回路の一部を止める」注射で画期的な新規治療薬として期待されていますが、高額な薬剤であることから厳密な適応が求められます。適応は、手術後に鼻茸の再発を認めた症例や、全身的ステロイドの抵抗症例など既存の治療法に難渋する重症好酸球性副鼻腔炎などです。好酸球性副鼻腔炎の重症度は末梢血やCT画像など検査結果の他、気管支喘息、アスピリン不耐性、NSAIDアレルギーの合併の有無で分類され、重症症例は国内に約2万人存在すると推定されています。
デュピルマブは2週間ごと(症状が安定している場合は4週間ごと)に皮下注射します。自己注射も可能で、その手技も簡便です。その有効性も大規模臨床試験で証明されており、嗅覚の改善や鼻閉の改善が見込まれます。
デュピルマブの使用に際して患者側の唯一の問題点は経済的な負担がかかる点です。保険診療の3割負担の場合、月に約3万の薬剤費が必要となりますが、指定難病の受給によって、医療費の助成を受けることができます。