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びまん性レヴィ小体病専門外来のご案内

2025.01.31

レヴィ小体型認知症とは何か

物忘れ、認知機能の低下,注意力の低下が主体になります。手のふるえ,体の固さ,動作の緩慢さといったパーキンソン病に似た症状が出ることもあります。特徴的な症状として幻視と言い,その場にいないはずの人や物,動物が,ありありと鮮明に見える症状があります。また意識の変容といい,覚醒と眠ることを短期間で繰り返すこともあります。食事をしながら寝てしまうということもあります。

レヴィ小体型認知症の病態メカニズム

レヴィ小体というαシヌクレインと呼ばれるタンパク質が凝集した小体があります。この小体が脳実質内にたくさん出現します。αシヌクレインは毒性を持つ蛋白質と考えられており,正常な脳神経細胞を痛めつけてしまいます。結果,変性と呼ばれる脳細胞の萎縮,数の低下が起きます。このような病理学的な変化を背景とすることもあり,レヴィ小体型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)と呼ばれています。

レヴィ小体型認知症の多彩な症状

発症前から認める症状として,匂いがわかりにくい、便秘、就寝中の大声,手足をばたつかせるといった症状が出ることがあります。発症の前後では,幻視と呼ばれる,本来であればないはずのものを,ありありと鮮明に見える症状が出ることがあります。すでに亡くなっている親族や赤の他人、子どもや老人が立っているといた人の幻視。置いてある洗濯物が猫に見える,同居家族が別の人がすり替わった感じがするという訴えが出ることもあります。それと同時に,物忘れ症状が目立って出現することがあります。直近のことをすぐに忘れてしまう,興味や関心が低下する,無為的になる。覚醒レベルの変動も特徴的な症状になり,日中に強い眠気が出て,短時間で覚醒するを繰り返します。
実はパーキンソン病と脳の中で蓄積する原因たんぱく質は同じです。パーキンソン病もレヴィ小体型認知症もαシヌクレインという蛋白質が蓄積します。αシヌクレインが凝集体を作り,レヴィ小体を形成するのですが,レヴィ小体型認知症の方が,脳内におけるレヴィ小体の広がりがより大きい傾向はあります。こういった疾患背景もあり,レヴィ小体型認知症もパーキンソン関連症状を高率に出してきます。運動症状が主体であり,表情が乏しい、小声、字が小さくなる、洋服のボタンがかけづらい、腰が曲がってきた、トイレや玄関で足がすくむといった症状が出ます。また精神症状としては抑うつ傾向,気分の落ち込み,やる気が出ない,漠然とした不安感が出ることもあります。系統化された妄想を出すこともあり,事実誤認、訂正不可能な妄想、思い込みが出ることもあります。

検査

頭部MRI、採血(甲状腺機能やビタミン欠乏の評価)、DAT-SPECT、MIBG心筋シンチグラフィー、脳血流SPECT、心理検査(MMSE、長谷川式、ノイズパレイドリアなど)、ポリソムノグラフィー、嗅覚検査

治療

抗認知症薬、抗パーキンソン病薬、生活環境調整,リハビリテーション。また経過としては緩徐に進行する疾患であり,サポート体制の構築が重要になります。介護保険を用いてのリハビリテーションやデイケアの利用推進。進行した場合には,訪問看護師,地域包括センターとも連携を取りながら,社会的にサポートする体制を作ります。当院入院による薬剤調整,集中的なリハビリテーションも実施しています。ご希望がある場合には,各担当医にご相談ください。

予約受付

当医療センターにはレヴィ小体型認知症を専門とする医師が多数在籍しています。このため、どの曜日でも対応は可能です。初診の方は,現在おかかりの先生から紹介状をお持ちいただくと,よりスムースに対応できます。

少しでもご自身、ご家族に当てはまるような、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。

主担当医脳神経内科 西岡 安藤 石黒 櫻井 神山
診療日時月曜日~土曜日
予約受付医事課予約係 03-5857-5111(受診予約専用)