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長寿いきいきサポート外来(フレイル・サルコペニア外来)
専門外来 循環器内科 消化器内科 呼吸器内科
2022.03.04
人生100年時代! 大学病院の高齢期医療の拠点が地域の高齢者の健康づくりをお手伝いします
フレイル・サルコペニアとは要介護状態の大きな原因となる疾患です
フレイル(虚弱)とは
加齢により心身が衰え、健康と要介護の中間の状態を指します。フレイルの段階で把握し、適切な運動や栄養バランスのよい食事に改善することで、健康状態に戻ることも可能です。身体的フレイルは社会的フレイルや精神・心理的フレイルとも相互に影響し合っています。
サルコペニアとは
筋肉量が減少して筋力が低下し、とくに「立ち上がる」「歩く」など移動に関わる動作が難しくなる状態を指します。認知症・骨粗鬆症・糖尿病・心不全など、高齢者の健康を左右する病気と密接な関連があります。
65歳以上のすべての方へ最近、こんな症状はありませんか?
- これといった理由もなく体重が減った
- 青信号で渡り切れなくなった
- 階段の上り下りが以前よりつらくなった
- なんとなく身体がだるい
- 身体が思うように動かない
- ペットボトルのふたが開けられない
- なぜか食欲が湧かない
- 手足がやせてきた(指で作った輪が足首からひざまでスッと通る)
- もの忘れが多い
- 歩くスピードが遅くなった
- 外出もせず、気力もない
- 一人暮らしで、一日中誰とも会話しない
病気ともいえないこのような症状が、フレイル・サルコペニアの始まりであったりします。
「今までと違う」と感じたら長寿いきいきサポート外来(フレイル・サルコペニア外来)でチェックを
人生100年時代、要介護にならずに長寿を楽しむためには、フレイルやサルコペニアを日頃から予防し、不安を感じたら病院でチェックすることが大切です。当医療センターは順天堂大学医学部附属の高齢者専門病院として、フレイル・サルコペニア外来(2022年3月に「長寿いきいきサポート外来」に名称変更)を設置し、健康寿命を損なう病気の検査・診断を行っています。
フレイルは初期の段階であれば健康状態に戻すことも可能です。「病気といえるほどではないけれど、どこか今までと違う」と感じられたら、長寿いきいきサポート外来(フレイル・サルコペニア外来)をご検討ください。かかりつけ医から当医療センターをご紹介いただくことで、サルコペニア・フレイル指導士などの専門資格を持つ医師が検査・診断を担当します。
高齢者医療のエキスパートが取り組む要介護予防の最前線
当医療センターは高齢者医療を重点的に行うことを目的に東京都が2002年に開設。2004年より順天堂大学医学部の附属病院に移行し、現在に至っています。25の診療科と404の病床を持ち、常勤医師は約85名。そこに2020年9月より、長寿いきいきサポート外来(フレイル・サルコペニア外来)を開設しています。
フレイルやサルコペニアの患者さんははっきりとした症状がなく、「なんとなく体調が悪い」「最近、身体が動かしづらい」という方が多いため、かかりつけ医も原因がよくわからず、「加齢のため」と片づけられることも多くあります。また、総合病院で診てもらおうにも、どの診療科を受診すればよいかわからず、いくつもの病院を訪ね歩いたり、診断が出るまでかなり時間がかかるケースも少なくありません。
当医療センターの長寿いきいきサポート外来(フレイル・サルコペニア外来)は、こうした原因がよくわからない不調に悩むご高齢者の窓口となり、診断や検査を行います。担当する医師は循環器内科・消化器内科・呼吸器内科の専門医で構成されており、ご高齢者の病気や症状に精通しているほか、必要に応じてセンター内の内科や整形外科、歯科口腔外科、リハビリテーション科、メンタルクリニックなどへご紹介します。大学病院の高齢者医療のエキスパートが「フレイル」「サルコペニア」という切り口から診療科の枠を超えて連携し、患者さんとご家族を支えます。
受診の流れ:まずはお電話にてご予約を!
受診予約にて、長寿いきいきサポート外来(もしくはフレイル・サルコペニア外来)をご予約ください。
TEL:03-5857-5111(受診予約専用)
医事課予約係 月~金 9:00~17:00 、土 9:00~12:00
- 曜日と時間帯(午前・午後)により、担当医師が変わります。
- 予約時に紹介状の有無をお伝えください。
※当医療センターを初めて受診される際は初診時保険外併用療養費(7,700円)が必要です。かかりつけ医の紹介状がある場合は、初診時保険外併用療養費は無料です。
宮内 克己
院長・循環器内科 教授
担当日:金曜/午後
浅岡 大介
消化器内科 科長・教授
担当日:月曜・木曜・金曜/午後
菅野 康二
呼吸器内科 科長・准教授
担当日:火曜/午後
松野 圭
呼吸器内科 准教授
担当日:火曜/午後
検査の内容:簡単な検査で「隠れフレイル」やサルコペニアを診断できます
【基本的な検査】
- 〇問診
- 患者さんやご家族が普段感じておられる症状をお聞きし、ライフスタイルや既往歴、服用されているお薬などについて、お聞きします。
- 〇身体測定
- 身長・体重・握力・歩行速度を測ります。フレイル・サルコペニアかどうかは一見しただけではわかりませんので、診察室内で歩いていただいて測定します。
- 〇筋肉量測定
- 身体の電気抵抗値を利用して体脂肪率や筋肉量、推定骨量、水分量などを測定するBIA(Bioelectrical Impedance Analysis)法を利用した体組成計により、筋肉量を測ります。
- 〇採血検査
- 感じられている症状の裏に別の病気が隠れていないか確認するためにも、通常の採血検査を行います。
検査はごく一般的な体組成計や握力計などを使って行いますので、お気軽にご来院ください。心身にご負担をおかけしないよう、受診から検査終了まで1時間半~2時間程度を目安としています。
【オプション検査】
- 〇頭部MRI検査
- 認知症や軽度認知障害を早期に発見するため、脳の海馬の萎縮の程度などを確認します。軽度認知障害であれば、適切な治療により以前の健康な状態を取り戻せる可能性もあります。認知症が疑われる場合は、認知症治療の実績が豊富な当医療センターのメンタルクリニックと連携し、治療へと進めます。
- 〇DEXA法骨密度測定検査
- 微量なX線により、骨折しやすい腰椎や股関節の骨などの骨密度を直接測定します。骨粗鬆症が疑われる場合は、整形外科やリハビリテーション科と連携し、治療へと進めます。
- 〇オーラルフレイル検査
- 咬合圧測定や舌圧測定、歯周病チェックなどを行います。「オーラルフレイル」とは、食べ物や飲み物に少しむせたり、食べこぼしたり、以前より滑舌が悪くなるなど、口腔機能が低下した状態を指します。口腔機能は高齢者の健康と深く関わっています。オーラルフレイルが見られたら、食事を楽しんだり将来の誤嚥性肺炎を予防するためにも、歯科口腔外科と連携し、予防や治療へと進めます。
さらに、胃もたれ・便秘・息切れ・しつこい咳などの気になる症状や、睡眠障害・排尿障害など、高齢者にありがちな症状についてアンケート調査を実施。必要に応じて専門の診療科へとご紹介し、当医療センター全体で患者さんをサポートしていきます。
フレイル・サルコペニアと診断されたら:運動指導や栄養指導を提供
フレイルやサルコペニアと診断されたら、当医療センターから運動指導や栄養指導をご提供します。運動指導では日常生活の中でウォーキングなど無理のない運動を続けていただき、徐々に歩数を増やしていくことを目指します。栄養指導では当医療センターの管理栄養士が症状に応じて必要な食品や栄養素についてご説明し、食事面での改善のヒントをご提案します。
長寿いきいきサポート外来(フレイル・サルコペニア外来)は「検査・診断して終わり」ではなく、診断後も長く患者さんを見守り、運動面や栄養面での患者さんのモチベーション維持に貢献したいと考えています。さらに1年後・2年後の状態を把握して、今後のフレイル・サルコペニア研究へと役立てていくことを目指しており、ご協力いただける方には1年単位でのアンケート調査をお願いしています(研究へのご協力は任意です)。
順天堂の総力を挙げて地域医療や健康寿命の延伸に貢献します
今後、当医療センターは全診療科にフレイル・サルコペニア診療を展開することを計画しています。また、順天堂大学スポーツ健康科学部での「ロコモ予防運動プログラム」の研究・実践は国内のロコモ予防運動におけるトップランナーであり、順天堂ジェロントロジー/スポートロジーセンターでも健康寿命延伸のための大規模住民調査を継続中です。こうした順天堂の総力を結集し、当医療センターでもフレイル・サルコペニアの研究を発展させていきます。
さらに、東京都江東区とも連携し、地域の老人福祉センターで住民の方々に向けて「身体機能測定会」を実施しており、順次拡大していく計画です。毎回多くの住民の方々が参加され、筋肉量測定や認知機能チェックなどを行い、フレイル・サルコペニアや認知症などの早期発見・早期治療に役立てております。
主担当医 | 宮内克己(循環器内科)、浅岡大介(消化器内科)、 菅野康二(呼吸器内科)、松野圭(呼吸器内科) |
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診療日時 | 毎週月曜日午後、火曜日午後、木曜日午後、金曜日午後(完全予約制) |
予約受付 | 医事課予約係 03-5857-5111(受診予約専用) |