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線維筋痛症専門外来のご案内
専門外来 脳神経内科
2025.01.31
線維筋痛症の主な症状
- 発症年齢は平均40歳前後になります。3カ月以上継続する全身の痛みと,それを説明付ける器質的疾患(内科的疾患,外科的疾患)がないこと疾患の定義になります。全身に強い痛みが出現するにも関わらず,各種検査にて明らかな異常を認めない点が,線維筋痛症の診断を難しくしている点にもなります。当科では米国リウマチ学会が提唱する診断基準も用いて判断します。

線維筋痛症の病態
- 線維筋痛症は中枢(脳)起源の痛みとして考えられています。病初期に局所的な,部分的な痛みが反復する,継続することにより,痛みの連続した刺激が脳の方は加わることになります。これが継続した後に,継続する痛みに対する破滅的思考,不安,恐怖といった情動の不安定さも加わり,線維筋痛症を発症すると考えられています。研究上で用いられるような各種画像検査にて,その変化は捉えられます。
- 最近では,痛覚変調性疼痛と呼ばれる名称を用いることもあります。線維筋痛症,顎関節症,口腔灼熱症候群・舌痛,過敏性腸症候群,慢性骨盤内疼痛症候群,アロディニアといった疾患群を総称して,痛覚変調性疼痛として捉えようとする考え方もあります。これらの疾患は,慢性に継続する痛みがありますが,一方で通常臨床の現場で用いられるような検査にて,痛みを起こす異常が同定されない疾患群になります。
線維筋痛症の検査
- 主には器質的疾患の除外が主目的になります。主な鑑別疾患としては,慢性関節リウマチ,リウマチ性多発筋痛症といった膠原病関連疾患,頚椎症,腰椎症といった整形外科関連疾患になります。初診の段階で血液検査や画像検査を行うことは必須になります。線維筋痛症とこれら疾患群では治療法が大きく変わることがその理由になります。鑑別を最初の段階でしっかりと行います。広範囲の痛みがありながらも,ある程度部分的に出現している場合には,器質的疾患の可能性も出てきます。小生らの患者さんのデータでは,慢性片頭痛の合併が多く,これらも重要な鑑別疾患になりますので,頭部画像検査を行うことがあります。複合性局所疼痛症候群(CRPS)も線維筋痛症と類似した病像を出します。各種診断基準を用いながら鑑別を行います。
線維筋痛症の治療
本邦で保険適用となっている薬剤としては,プレガバリンとデュロキセチンがあります。これら以外にも治療ガイドラインや既報にて効果の得られた薬剤として,トラムセット,ノイロトロピン,ガバペンチンといった薬剤があり使用することもあります。各種内服薬の効果は個人差が大きい印象があります。最初の段階では,一つの薬剤で効果がなければ次の薬剤へ切り替えるといった作業をしながら,個々の患者さんに合う薬剤を決めていきます。
薬剤による加療を上回る効果のある治療法しては,リハビリテーションになります。継続的に軽い負荷で行う運動は,線維筋痛症の鎮痛効果が得られるとして,各種治療ガイドラインにて強い推奨になっています。実際には患者さんからは,「痛みのために満足にできない」という声もあります。軽い負荷から開始し,時間をかけながら段階的に負荷を上げていく方法が良いと思います。

線維筋痛症は軽快するまでに,時間のかかる疾患になります。ただし早期に診断をし,早期に適切な治療介入を加えた群において,より高い治療効果を得る可能性があります。早期診断,早期治療の開始のために,ご紹介頂いた場合には,できるだけ早い対応を心がけています。セカンドオピニオンも随時受け付けています。リハビリテーション導入目的のための短期間入院加療も行っています。小生も線維筋痛症学会副理事として活動を行っており,学会と常時連携を取りながら対応を進めています。患者さん方への活動としては,年に1回,患者さん向けの公開講座も行っています。
予約受付
何か困ることがございましたら、お気軽にご相談ください。
主担当医 | 脳神経内科 西岡 健弥 |
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診療日時 | 水曜日午後 |
予約受付 | 医事課予約係 03-5857-5111(受診予約専用) 月~金 9:00~17:00 、土 9:00~12:00 ※お電話の掛け間違えが多くなっておりますので、ご注意ください。 |
