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パーキンソン病専門外来のご案内
専門外来 脳神経内科
2025.01.31
パーキンソン病の主な症状
平均発症年齢は60歳前後になります。手足の震え,固さ,すくみ足,歩行困難,動きがゆっくりになった,という症状で発症します。それ以外にも仮面様願望と呼ばれる表情の消失,小声,字が小さくなるといった症状もあります。これらの症状は主に運動面に影響が出ることから「運動症状」と一括りで言われます。運動症状と対照的に「非運動症状」と呼ばれる,運動とは直接関係しない症状もあります。非運動症状には,不眠症,寝ている間に大声を出す,過剰に手足を動かしてしまうといったレム睡眠行動障害,においが分からなくなる嗅覚障害,頻尿,慢性に継続する便秘,抑うつ傾向,慢性の痛み,むずむず脚があります。また立ち上がると反射的に血圧が低下し,ふらつき,めまい感といった症状を出す起立性低血圧があります。運動症状の数年前から非運動症状が出ていることもあります。
パーキンソン病の病態
脳内にαシヌクレインと呼ばれるたんぱく質が蓄積し,レヴィ小体と呼ばれる凝集体を作ります。レビィ小体そのもの,あるいは形成される過程での前駆物質が神経細胞に悪さをし,神経細胞死を起こします。これにより神経細胞の数が減り,ドパミンの分泌量が不足するようになり,パーキンソン病を発症します。様々な要因が知られていますが,もっとも発症のリスクとして考えられているのは加齢です。年齢が上がるにつれ発症する割合は高くなります。ご高齢の方を主体とした病気と言えます。
パーキンソン病の検査
脳のCT,MRIを撮影し,パーキンソン類似の症状を起こしうる疾患がないかどうかを確認します。一般的に病初期のパーキンソン病の方々が,CT, MRIといった形態を見る画像診断で異常所見を出さないことが多いです。それ以外にもDAT scanと呼ばれる脳内のドーパミン量を測定する検査。MIBG心筋シンチグラフィーと呼ばれる画像検査で,パーキンソン病特有の変化を確認します。
パーキンソン病の治療
病初期の段階では,ドパミンを含有する内服薬にて加療を進めます。パーキンソン病は治療面での開発も進んでいる領域であり,数多くの内服薬が発売されています。ドパミン以外にもCOMT阻害剤,MAOB阻害剤,アゴニスト,抗コリン剤といった薬剤も併用します。それぞれの薬剤の特性を生かしながら,症状の緩和を目指します。多くの方が内服で安定した状態で数年経過されます。
発症から10年程度経過すると,一部の方々で内服薬のみで症状が抑えられなくなる現象が起こることもあります。具体的には,(i) 薬が突然に効かなくなるオフ症状,(ii) 薬が効いている時間のオンと聞いていない時間のオフが繰り返し交互に出るオン・オフ現象,(iii) 薬が効いている時に過剰な動きが四肢,体幹に出現するジスキネジアが該当します。このような症状の改善を目指して,デバイス補助療法を行うこともあります。
デバイス補助療法
デバイス補助療法には,(i) 脳深部刺激療法(Deep brain stimulation: DBS),(ii)デュオドーパ,(iii) ヴィアレブといった治療法があります。脳深部刺激療法は,リードを大脳基底核に入れ込み,電気の刺激によりパーキンソン病の症状を緩和させる治療になります。主にオフ症状の低減や増えてしまった薬剤量を減らすことができます。手術自体は順天堂本院の脳神経内科にて施行します。外来フォローアップは当院でも行えます。デュオドーパは胃ろうと呼ばれる腹部に小さい穴を外科的に造設し,そこからチューブを入れ,ゲル状のドパミンを持続で入れる治療になります。デュオドーパも最初の導入は順天堂本院で施行します。ヴィアレブは2024年から国内で使用できるようになった治療法で,腹部等にパッチ状の細い針を付着させ,そこからゲル状のドパミンを継続して投薬する治療になります。最初の導入から当院で対応可能です。いずれも導入は入院で行います。オフ症状の改善,ジスキネジアの改善を得ることができます。
パーキンソン病を専門とする医師は多数在籍しています。どの曜日でも対応は可能です。初診の方は,現在おかかりの先生から紹介状をお持ちいただくと,よりスムースに対応できます。
少しでも気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
予約受付
主担当医 | 脳神経内科 西岡 安藤 石黒 櫻井 神山 |
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診療日時 | 月曜日~土曜日 |
予約受付 | 医事課予約係 03-5857-5111(受診予約専用) |