耳鼻咽喉科トピックス
トピックス
好酸球性副鼻腔炎外来の新設
好酸球性副鼻腔炎は指定難病でもある難治性の鼻ポリープを伴う副鼻腔炎です。本疾患の患者様に特化した専門外来を新設しました。手術、副作用を最小化したステロイド療法、更には生物学的製剤(デュピルマブ)を各々の患者様の病状に合わせて、治療法をご相談しながら行います。
標準的な内服ステロイド薬の治療は症状の悪化時のプレドニゾロンの短期間(5~10日間)の投薬で副作用の最小化が可能になります。セレスタミンなどのステロイド薬内服の長期投与は重大な副作用の危険性が指摘されています。
以下の「好酸球性副鼻腔炎」「デュピルマブ」の項目もご参照下さい。
標準的な内服ステロイド薬の治療は症状の悪化時のプレドニゾロンの短期間(5~10日間)の投薬で副作用の最小化が可能になります。セレスタミンなどのステロイド薬内服の長期投与は重大な副作用の危険性が指摘されています。
以下の「好酸球性副鼻腔炎」「デュピルマブ」の項目もご参照下さい。
好酸球性副鼻腔炎
2000年以降提唱された疾患概念で、嗅覚低下をきたすことが多いほか、気管支喘息やアスピリン不耐症の合併が多いという特徴があります。一般的な副鼻腔炎に対する治療薬は抗菌薬が一般的ですが、好酸球性副鼻腔炎に対する治療薬の第一選択は鼻噴霧用ステロイド剤であり、術後再発性鼻茸にも有効です。鼻噴霧用ステロイド剤の通常量で縮小しない術後再発性鼻茸には倍量投与で鼻茸は縮小し、嗅覚能の改善にも効果的です。投与後の糖尿病や副腎皮質不全などの有害事象は皆無で、安全に使用可能な方法です。
鼻噴霧用ステロイド剤やステロイドの内服によってもコントロール困難な場合(全体の約20~40%)は手術適応になりますが、手術後の再発率は約25%と、再発率が高い特徴があります。再発を認めた場合、ステロイドの全身投与やデュピルマブという注射薬剤の投与などの治療手段があります。
鼻噴霧用ステロイド剤やステロイドの内服によってもコントロール困難な場合(全体の約20~40%)は手術適応になりますが、手術後の再発率は約25%と、再発率が高い特徴があります。再発を認めた場合、ステロイドの全身投与やデュピルマブという注射薬剤の投与などの治療手段があります。
デュピルマブ
生物学的製剤であるデュピルマブの登場により、術後の再発症例や全身的ステロイド抵抗性の難治性好酸球性副鼻腔炎に対して効果が期待されています。本薬剤は「副鼻腔炎を悪化させるアレルギー回路の一部を止める」注射で画期的な新規治療薬として期待されていますが、高額な薬剤であることから厳密な適応が求められます。適応は、手術後に鼻茸の再発を認めた症例や、全身的ステロイドの抵抗症例など既存の治療法に難渋する重症好酸球性副鼻腔炎などです。好酸球性副鼻腔炎の重症度は末梢血やCT画像など検査結果の他、気管支喘息、アスピリン不耐性、NSAIDアレルギーの合併の有無で分類され、重症症例は国内に約2万人存在すると推定されています。
デュピルマブは2週間ごと(症状が安定している場合は4週間ごと)に皮下注射します。自己注射も可能で、その手技も簡便です。その有効性も大規模臨床試験で証明されており、嗅覚の改善や鼻閉の改善が見込まれます。
デュピルマブの使用に際して患者側の唯一の問題点は経済的な負担がかかる点です。保険診療の3割負担の場合、月に約3万の薬剤費が必要となりますが、指定難病の受給によって、医療費の助成を受けることができます。
デュピルマブは2週間ごと(症状が安定している場合は4週間ごと)に皮下注射します。自己注射も可能で、その手技も簡便です。その有効性も大規模臨床試験で証明されており、嗅覚の改善や鼻閉の改善が見込まれます。
デュピルマブの使用に際して患者側の唯一の問題点は経済的な負担がかかる点です。保険診療の3割負担の場合、月に約3万の薬剤費が必要となりますが、指定難病の受給によって、医療費の助成を受けることができます。
当医療センターでの耳下腺腫瘍手術
【入院期間】
入院は基本的に術後約1週間程度ですが、腫瘍の状況により入院期間の短縮は可能です。一方、合併症等により退院が延期になる可能性があることをご了承ください。
腫瘍の状況によりますが、良性腫瘍の中で一番多い「多形腺腫」の場合には腫瘍周囲に約5mm程度の距離をつけて腫瘍を摘出します(患者さんの病状によりこのかぎりでないことをご承知おきください)。耳下腺の中を走行している顔面神経(顔の筋肉を動かす働きをしている)は、温存します。
翌日からのお仕事への復帰も可能です。
首の安静の必要は無く、運動も問題ありません。
良性腫瘍の場合には一度外来を受診していただき傷のチェックを行います。その際、異常なければ終診となります。
悪性腫瘍の場合には追加治療の可能性や以後の定期的受診が必要となります(再発のチェックを行います)。
入院は基本的に術後約1週間程度ですが、腫瘍の状況により入院期間の短縮は可能です。一方、合併症等により退院が延期になる可能性があることをご了承ください。
- 手術時間は約2時間程度ですが腫瘍の状況により延長します。
- 摘出腫瘍の病理検査の結果については退院後に外来でご説明します。
- 病理検査の結果によっては追加治療が必要になる可能性があります(がんが判明するなど)
- 手術は全身麻酔で行います。麻酔に関しては麻酔科の医師より説明があります。
- 手術前日21時より手術後翌日の朝まで飲食禁止です。
- 手術当日朝、水分を摂るための点滴を入れます。
腫瘍の状況によりますが、良性腫瘍の中で一番多い「多形腺腫」の場合には腫瘍周囲に約5mm程度の距離をつけて腫瘍を摘出します(患者さんの病状によりこのかぎりでないことをご承知おきください)。耳下腺の中を走行している顔面神経(顔の筋肉を動かす働きをしている)は、温存します。
- 当科では傷を目立たせないために、できるだけ頭髪の生え際近くに皮膚切開を設定する方法で手術を行っています。(腫瘍の位置によっては本方法で行わない場合もあります)
- 耳たぶの感覚を担っている神経を残しながら、耳下腺を露出させます。
- 顔面神経を確認し傷つけないようにします。当科では顔面神経モニタリング装置を用いて確実な神経の温存につとめています。この装置は鋭敏に神経の位置を探索できるので、安全に手術が行えます。
- 腫瘍周囲から約5mm程度離しながら耳下腺を切除します。摘出後、Frey症候群等の予防の工夫をし、ドレーンを留置して手術終了です。 (ドレーンは傷の脇から挿入するゴム製のチューブで手術後2~3日後に抜きます。)
- 痛み:薬でコントロールできる範囲です
- 出血:少量です • 耳垂(みみたぶ)の感覚麻痺
- 傷の違和感:つっばる感じなど
- 顔面神経麻痺:閉眼困難など、表情を作るのが困難になります。麻痺がおきても一過性のことがほとんどですが、中には生涯にわたって継続する可能性も稀にあります。
- Frey症候群(フライ症候群):術後しばらくしてから食事摂取時に手術部位が赤くなり発汗する現象です。
翌日からのお仕事への復帰も可能です。
首の安静の必要は無く、運動も問題ありません。
良性腫瘍の場合には一度外来を受診していただき傷のチェックを行います。その際、異常なければ終診となります。
悪性腫瘍の場合には追加治療の可能性や以後の定期的受診が必要となります(再発のチェックを行います)。
いびき・睡眠時無呼吸の簡易診断
睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気や集中力の低下を引き起こすばかりでなく、将来的に数々の生活習慣病を合併し、死亡率の増加を引き起こします。昨今は睡眠中の「いびき」「無呼吸」などの明らかな症状を主訴として来院する患者は少なくなっています。一方で、無呼吸の症状として見逃されやすい起床時の口腔内違和感・乾燥感・咽頭痛・違和感などは要注意です。これらの症状はいびきに伴う口呼吸が原因で生じており、睡眠時無呼吸の重要なサインです。また簡便な発掘法として、「アー」と発語させた際の口腔内観察で口蓋垂(のどちんこ)や咽頭後壁が明視できないことが挙げられます。当科では積極的に睡眠時無呼吸を発掘して、上気道内視鏡検査や睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)によって原因因子を解析して、症例別の適切な治療法を選択しております。
PSG検査は木曜および土曜に一泊二日の入院で施行いたします。お気軽にご相談ください。
PSG検査は木曜および土曜に一泊二日の入院で施行いたします。お気軽にご相談ください。
当医療センターでのアレルギー性鼻炎に対する手術
花粉症などのアレルギー性鼻炎の基本的な治療は薬物治療ですが、効果が乏しい場合には、他の治療法の選択肢として、手術が挙げられます。この手術の目的は、下鼻甲介に存在する効果器の物理的・機能的除去です。近年、難治性の水様性鼻漏やくしゃみに対する積極的なアプロ−チとして、下鼻甲介に分布する副交感神経と知覚神経を選択的に切断する後鼻神経切断術が試みられています。従来から知られている古典的なVidian神経切断術は上顎洞経由でアプローチする術式ですが、涙腺に分布する副交感神経も切断するために涙液分泌障害が生じる可能性が高く、口蓋粘膜への知覚枝の切断により同部位の知覚鈍麻も報告されています。その反面、鼻内経由の後鼻神経切断術は副損傷の頻度が極めて少なく、しかも最小の侵襲で施行可能な術式です。
動物実験では後鼻神経切断後に徐々に神経の再支配が生じることが示されていますので、我々は切断した後鼻神経を骨や軟骨片で被覆して後鼻神経の再支配を予防する術式を考案し、術後の良好な成績を報告しています。後鼻神経切断術を含む手術症例56例の6ヶ月間から4年間の観察期間の臨床成績では、2症例を除き鼻症状の改善は8割以上です。また、術後の鼻腔抵抗値と鼻粘膜抗原誘発検査を検討した結果、15症例すべてで改善を認めています。術後の合併症では鼻出血が1症例、一過性の口蓋粘膜の知覚鈍麻1症例です。
アレルギー性鼻炎でお悩みの方は、是非お気軽にご相談ください。
動物実験では後鼻神経切断後に徐々に神経の再支配が生じることが示されていますので、我々は切断した後鼻神経を骨や軟骨片で被覆して後鼻神経の再支配を予防する術式を考案し、術後の良好な成績を報告しています。後鼻神経切断術を含む手術症例56例の6ヶ月間から4年間の観察期間の臨床成績では、2症例を除き鼻症状の改善は8割以上です。また、術後の鼻腔抵抗値と鼻粘膜抗原誘発検査を検討した結果、15症例すべてで改善を認めています。術後の合併症では鼻出血が1症例、一過性の口蓋粘膜の知覚鈍麻1症例です。
アレルギー性鼻炎でお悩みの方は、是非お気軽にご相談ください。
めまいリハビリ入院
人はバランスを保つにあたり、平衡感覚はもちろん、足の裏の感覚などの体性感覚や視覚、さらには下半身を中心とした筋力や睡眠も非常に重要な要素です。これらの要素に問題が生じると、ふらつきの症状が出現します。 「体がふらつく」「めまいがする」といった症状にお悩みの方は少なくないと思います。当院ではこのような症状に対する原因の究明および個々に合わせたリハビリ指導を二泊三日の入院で行うプログラムを立ち上げました。木曜日に入院し、土曜日の午前中に退院します。 めまいやふらつきに悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。